サバ部長の日常

さば部長の日常｜あぶさんと日本酒と炊き込みご飯

日本酒が嫌いだ。

いや嫌いといったら日本酒に失礼か。
日本酒は何も悪くない。

# 罪な男
# 日本酒が好きそうな顔だとはよく言われます

勧められればいただくし、別に飲めないわけではないのだが
自分から飲もうとは思わない。
何故こんなに苦手なのか…

記憶を辿ると、その原因はお正月の思い出にあるのかもしれない。

小学生時代、元日は家族集まって一緒に雑煮やおせちを食べるのが恒例だった。

普段はでてこない豪華な食事に心躍らせたものだが、ごちそうにありつく前に試練があった。

祝い酒として日本酒がふるまわれるのだが、
お猪口の日本酒を飲み干さなければおせち料理を食べさせてもらえなかったのだ。

しかし小学生の子どもが日本酒を美味しいと思えるわけがなく、
舌をつけるだけでもウゲェッ～となっていた。

こっちの金粉入りだったら飲める？と訳の分からない代替案を出された時もあるが…
（あれはどういう意図だったのだろう）

# 金粉は確かにきれいではあるが
# 金粉で味は変わらない

それから中学、高校と少しずつ大人になっていっても
元日に飲まされる日本酒は大吟醸であろうとウゲェッ～という感じだった。

20歳を過ぎるとさすがにまずいとは思わなかったが、
特に好んで飲むほどでもなく…

ただそんなオレでも、小学生のころに飲みたいと思っていた日本酒があった。
ずっと忘れていたが、最近そのことをまた思い出すきっかけがあった。

これだ！今年の夏に発売された故水島新司を偲ぶ短編集である。

そして、この表紙のあぶさんが手に持っている新潟石本酒造の「越乃寒梅」が、小学生のころに飲みたかった日本酒だ。

小学生のころは野球チームに入っていたこともあり、野球漫画が好きで水島新司の「ドカベン」や「大甲子園」をよく読んでいた。

その水島新司野球漫画のなかで、酒豪のプロ野球選手を描いたちょっと大人向けの「あぶさん」という漫画がある。

「あぶさん」というのは主人公の名前なのだが、酒豪というかアルコール依存症で、一試合分の集中力やあらゆる持続力がなく、たった一打席の代打のみでプロの世界を生き抜いてゆくという、ぶっとんだ設定の漫画だった。

小学生のころに読み、アル中はさておき一打席に賭ける野球人としてのカッコよさから憧れの存在だった。

あぶさんのルーティンで、打席に入る前に日本酒を口に含み、それをバットのグリップに吹き付けるというのがある。それもカッコよくて、子どものころ水を口に含んでよく真似をしていた。

# 野球少年だった当時のオレ　# いい感じのセピア色　#問題です、オレはどれでしょう
# あの頃の目の輝きは今も残っているのだろうか

そんな酒豪でアル中で酒好きのあぶさんが愛飲していた日本酒が「越乃寒梅」だった。

作中でも越乃寒梅を美味しそうに飲むシーンが多く描かれており、
オレもあぶさんのように大人になれば、日本酒を美味しく感じられると信じていた。

そんな憧れの「越乃寒梅」を今回、人生で初めて飲むことにした。

ドキドキしながら蓋を開け、注ぐ。
なんだか手にしただけで感慨深い。

まずは香りを嗅ぐ。
ん～紛れもなく日本酒の香り・・・。

そして一口飲む。
ん～紛れもなく日本酒の味・・・。

・・・・・。

・・・・・。

・・・・・・・・。

人生初、念願の「越乃寒梅」は紛れもなく日本酒でした笑

# 味を比較して表現きるほど日本酒を飲んでおらず
# レポートできるわけがなく、すみません・・・

だが日本酒が苦手なオレでも飲みやすい日本酒だった。
そして飲んだだけで野球人としての憧れだったあぶさんに少し近づけた気がする。

うん、満足！！！

っとここで終わってはいけなかった。
本題はここから。

この「越乃寒梅」にあうNo.38を選ぶとしよう。
ていうかもう飲む前から決まっている。

日本酒に一番合うのは唯一の和風味付けである「炙り鯖のショウガ醤油仕立て」だ。

これは鯖缶にはよくある醤油ベースの味付けだが、あえてそのスタンダードを最上級な味付けで目指した。

外食で美味しい洋食を食べた後にふと家でお茶漬けが食べたくなる。
そんな鯖缶としての安心感をテーマにした味付けなっている。

生姜と醤油の煮つけ的な味とサバ自体を炙っているので香ばしさの風味も際立たせ、白ごはんにすごく合う味付けだ。
だから米からつくっている日本酒に合わないはずがない・・・。

本当はそのまま湯せんして食べるのが日本酒には合うのだが、今回は米に合うということで、炊き込みご飯にしてみた。