vol.2 匠 秀げつ

第2回目にご登場いただくのは、
和食の料理人である『匠 秀げつ』の黒田 眞樹さんです。

※本記事は2020年11月中旬に取材したもので、新型コロナウイルス感染予防対策を施した上で実施しています。

 

黒田 眞樹 さん
辻調理師専門学校に在学中から『秀げつ』で修行を重ねてきた黒田さん。和食と『秀げつ』一筋の職人肌と思いきや、実は創作料理も大好きで常連さんの無茶ぶりにも快く応えているそうだ。

 

大阪は堺市の住宅街。
幹線道路から一本入った通りに、ひっそりと店を構えているのが会席料理の名店『匠 秀げつ』です。

50年にわたって地元の人から愛されている隠れ家的な存在だけあって、気をつけていないと通り過ぎてしまいそうになる佇まい。

建物の奥へと続く小径に誘われて進んでいくと、突き当たりに美しい引き戸が現れます。

名店特有の「いかにも腕の良い職人が待ち構えていそうな空気」を醸し出しているその引き戸を開けると、目の前には2階へと続く階段が待ち構えていました。

「仕出しや出張料理も手掛けている関係上、1階部分は駐車場になっていて、こうした珍しい造りになっているんです」

そう教えてくれたのは、いかにも腕の良さそうな職人で、いかにも人の良さそうな黒田さん。

美しい白木のカウンター席以外に、テーブル席や小上がりの個室も完備している店内には、品のある空気が漂いつつも、どこかホッとする落ち着きを感じます。

顔合せやお食い初め、法要など、シーンに合わせて丁寧に対応してくれるお店の懐の深さがにじみ出ているためかもしれません。

「鯖缶のアレンジレシピと聞いて、すぐにアイデアが浮かんできたんです。でも、この鯖缶は別物ですね。最初に想定したレシピでは、納得のいく料理はできませんでした」

なんと取材前日まで、試行錯誤を繰り返してくれていた黒田さん。お店の従業員やご家族にも試食してもらって、たどり着いたレシピが「鯖カレーの炊き込みご飯」と「鯖の粕汁」です。

まずは、炊き込みご飯から。
お釜の中に「スパイス香る芳醇カレー仕立て」とお出汁を入れたら、具材の調理にかかります。

具材はジャガイモにしめじ、そしてトマトという意外な組み合わせ。ジャガイモは皮付きのまま角切りにして、サッと油で素揚げしていきます。

「素揚げすることで香ばしさがプラスされ、No.38のスパイシーさにマッチした力強さが出るんですよ」

こうしたひと手間は、やはりプロならでは。

トマトも同じく角切りにして、油を落とした素揚げジャガイモ、しめじと一緒にお釜の中へ。炊飯スイッチを押したら、あとは炊き上がりを待つばかりです。

ご飯が炊き上がるまでの時間を利用して、引き続き粕汁の調理へ。

まずは、短冊切りにした大根などの具材を湯がきながら、別のお鍋で出汁を火にかけ、酒粕を溶かしていきます。

酒粕のいい香りが調理場に広がってくると、粕汁が何よりの好物というNo.38スタッフの鼻もくんくん動きはじめました。

酒粕が溶けたら「味噌と辛味感じるガーリックオイル仕立て」を加えて、弱火でコトコト10分ほど煮込み、鯖の旨味を引き出していきます。

そこへ湯がいた具材と厚揚げを入れてから、おもむろにボールを手にした黒田さんが、ここでもプロのひと手間を教えてくれました。

なんと、ここで豆乳を投入するのです。
「豆乳は全体的に味をまろやかにするだけでなく、No.38と粕汁を馴染ませるつなぎ役にもなるんですよ」

一般的にお店で出されている粕汁も、豆乳や牛乳を入れて酒粕の角を取ることが多いらしく、その事実を知らなかったNo.38スタッフは、一同「へぇーー!」と声を揃えて驚いていました。

最後に、みりんと塩で味を調えます。味見をした黒田さんも、納得の表情。

お椀にうつして、刻みねぎを添えれば完成です。

 

 鯖の粕汁  〕

レシピはこちら

 

そうこうしているうちに、ご飯も炊き上がる頃。

「ピー」と炊飯器が炊き上がりを教えてくれたら、ここで本日最後のプロのひと手間です。

なんと溶き卵をサッと回しかけ、数分間だけ蒸らすというのです。こんな炊き込みご飯を見たことがなかったNo.38スタッフは、一同「えぇーー!」と、ここでも声を揃えて驚いていました。

このひと手間を加えることで味に深みとやさしさが出て、とても上品な炊き込みご飯に仕上がりました。

 

 鯖カレーの炊き込みご飯  〕

レシピはこちら

 

粕汁も炊き込みご飯も、湯気までおいしい冬のごちそう。

栄養もたっぷりなので、風邪などが気になるこの季節にぴったりのメニューと言えます。

冷えた体を芯からあたためてくれるので、冬なのに半袖で食べるNo.38スタッフの姿も。

新型コロナウイルスの感染防止対策として、試食中は会話を控えていましたが、おいしさのあまり、ただ黙々と食べていただけのような気もします。

無類の粕汁好きスタッフも、この表情。
ちなみに、「くぅ〜、うまい〜」という顔です。

今は少しずつお客様も戻ってきているそうですが、それもコロナの感染状況次第。まだまだ先行きが不透明な中でも、黒田さんは「真心を込めて料理をつくり続けていくだけ」と穏やかな笑顔を見せてくれました。

黒田さんのひと手間が詰まった料理を一人でも多くの人に楽しんでもらえるように、1日も早く事態が好転することを願うばかりです。

 

匠 秀げつ 公式サイト

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